アンジャッシュ渡部に教えたい「欲望」をコントロールするにはマインドフルネスが効果的!?

コミュニケーション

芸能界のグルメ王としても名高い、お笑いコンビ、アンジャッシュの渡部建さんが所属事務所を通じて、複数女性との不倫認め、話題を呼んでいます。「アンジャッシュ渡部建 複数女性との不倫認める」文春Oline

渡部さんといえば、妻が美人女優の佐々木希さん。web上では、「嫁が佐々木希でも浮気するのか!」や「むしろ、あれだけの美人を娶ると人生無敵になる」「芸能界ではまれなオシドリ夫婦だとおもっていた」などと、多くの人が男女関係の綾や、格差婚、人生の転落劇について、自身の経験を踏まえ、多岐にわたるテーマで、SNS上に興味深いコメントを寄せています。

渡部さんの不倫については、家庭内のことですので、我々に判じる権利はありませんが、「欲望のコントロール」という観点からは、今回のニュースは多くの示唆を与えてくれそうです。

「欲望」の代償は大きい?

渡部さんのニュースは「爽やかなイメージなのに信じられない」というコメントがある一方、「別に驚かないけど、計算高そうな彼がすべてを失う可能性のある不倫をするとは思わなかった」と冷静なコメントも。

確かに、渡部さんは、今や芸能界の随一の美食家として、知られていますが、もともとは、「仕事につながる趣味を」という発想から、夜景鑑賞士、日本さかな検定、高校野球検定、ダイエット検定などさまざまな趣味に挑戦する中で「グルメ」が上手くハマったというのが実際のところのようです。

つまり何も考えずに美味しいものを食べていたら仕事になったというのではなく、戦略的に今の「グルメ王」のポジションを得たということです。また、仕事のためにさまざまな趣味に挑戦していたことからもわかるように、継続的な努力ができる真面目な賢い人なのではないでしょうか。

人気女優の佐々木希さんとの結婚を機に、さわやかな良き夫、良きパパとして、さらなる好感度を築いてきた彼が、「不倫」で失うものについて、考えが及ばなかったとは思えません。

彼の「イケダン」キャラや夫婦共演のCM、主婦層向けのTV番組などから、大幅なイメージダウンにつながる「不倫」は致命傷となりかねないスキャンダルです。

このニュースは、欲望とは、人を奮い立たせるポジティブな側面がある一方、これまで築いてきた成功をいとも簡単に破壊しかねないネガティブな側面もある、といういい事例ともいえそうです。

欲望の負の側面

欲望は向上心と結びついてうまくコントロールできれば、仕事や人生の評価につなっがりますが、問題なのは、欲望には限りがないこと。

効率を上げて仕事がうまくけば、もっともっと生産性を上げるにはどうしたらいいか、もっともっとお金を儲けるにはどうしたらいいか・・もっともっとと欲望には際限がありません。

また、満たされない心の寂しさや、ストレスからショッピング、SNSへの投稿、過食、お酒、タバコ、ギャンブルなどに走り、目先の欲望を満たすことで、ストレスの解消どころかさらに落ち込んだり、後悔したりすることは、現代人にはよくあることではないでしょうか。

過剰な欲望を満たすことは、心身のバランスを崩したり、人生に疲れ切ってしまったりと、本来の人としの幸せを感じづらくなってしまう可能性があります。

なぜ欲望を抑えられない?

『あなたの脳は変えられる 「やめられない! 」の神経ループから抜け出す方法』(ジャドソン・ブルワー 著 久賀谷亮 監修・翻訳 岩坂 彰 訳 ダイヤモンド社)によると、心のバランスを保つために何を欲するかは人それぞれ違うとしても、報酬を求めて行動するというのは、人間の原始的なな学習プロセスによるものだとしています。

最新のスマホゲームにはまっているとき、あるいは好みの味のアイスクリームに病みつきになるとき、私たちは、現在科学的に知られているかぎりで、進化上最も古くから受け継がれている学習プロセスを働かせている。

人間はそのプロセスを無数の生物種と共有する。最も原始的な神経系を持つ生物でも同じだ。それは、報酬に基づく学習プロセスである。このプロセスは、基本的に次のように働く。

おいしそうな食べ物を見つけると、脳が「カロリーだ! 生き延びられるぞ!」と叫ぶ。そしてそれを食べ、味わう。おいしい。

とくに糖を摂取したときには、身体が脳に「この食べ物を見つけた場所を覚えておくように」という信号を送り、経験と場所に基づく記憶として残していく(専門的には文脈依存記憶と呼ぶ)。

こうして、次の機会に同じ手順を繰り返すことを学習するのだ。(1)食べ物を見る、(2)食べる、(3)おいしい。つまり、刺激→行動→報酬をリピートする。単純な話だ。

 

ドーパミンの刺激が快感の源泉?

これらの欲望満たす行為に関わってくるのは、「報酬系」や「快感回路」と呼ばれる脳の領域といわれています。

脳の中で分泌される神経伝達物質であるドーパミンは、、“報酬系ホルモン”ともいわれ、達成感や満足感をもたらす物質です。

『脳内麻薬 人間を支配する快楽物質ドーパミンの正体』(中野信子著)によると、“脳内麻薬”ドーパミンが脳の快感を司る部位を刺激しているから、「快感」得るのだとしています。

セックス、ギャンブル、アルコール、オンラインゲーム–人間はなぜ、これらをやめることができないのか。

それは中脳から放出される“脳内麻薬”ドーパミンが「快感」を司る脳の各部位を巧みに刺激しているからである。

コカインや覚醒剤はこの脳内回路「報酬系」を誤動作させて過剰な快楽を与え、依存症を招くものだ。

だがこのドーパミンは他人に褒められたり、難易度の高い目標を達成するなど、「真っ当な喜び」を感じる時にも大量に放出されている。

脳は刺激には慣れてしまう?

ドーパミンは、目標に向かって行動し、目標を達成するとさらにドーパミンが出て、やる気が出て、新たな目標につながる、という良いサイクルが出来上がる可能性もあります。ドーパミンは、分泌した回数が多いほどよく出るともいわれています。

ところが、ドーパミンの放出量が最大値まで高まるのは、これまで食べたことのない美味しそうな食べ物を食べる前や新しい経験する前までであり、食べてしまった後や、再度食べた時は、初めて最初のひと口を食べる瞬間よりも、量が少ないといいます。つまり、ドーパミンの放出量は、慣れたり飽きたりすればするほど減っていってしまうのです。

たとえば、ストレスが溜まるとつい買い物をしてしまうという方は、お店やインターネットの通販で何か魅力的な商品を見つけた時や、その商品を購入したり注文したりする時は、ワクワクしますが、買ってしまった後は、買う前よりも高揚感がだいぶ薄れているという経験があるかと思います。

すなわち、ドーパミンがたくさん分泌されるのは、目の前に幸福がぶらさがっており、それを得ることで幸福感に包まれる、もしくは幸福になれるという期待値が高まる瞬間なのです。

このような習慣を続けてしまうと、快感を得ようとさらなる強い刺激が必要となります。これでは、欲するものがなんであれ、いつか破たんするときがやってきます。

そこで、今注目されているのが「マインドフルネス」です。このマインドフルネスを継続することによって、脳の仕組みから生まれる欲望を、外的報酬とは異なる仕方で、内側から満たせるようになるといわれています。

マインドフルネスとは?

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マインドフルネスとは、瞑想の手法を基礎として自分の気持ちをコントロールできるようにする、心のトレーニングのことです。気持ちをコントロールするということは、集中力を高めたり、仕事の効率を上げたりする効果にもつながります。

このマインドフルネスは、1979年にJ.カバット・ジン、マサチューセッツ大学名誉教授が、仏教の瞑想から宗教的な要素を取り除き、ストレス緩和に用いたのが始まりといわれています。

J.カバット・ジンの定義によると、『マインドフルネスとは、意図的に、今この瞬間に、価値判断することなく注意を向けること』としています。つまり各々が持っている価値観や思い込み、世間の常識などで判断するのではなく、ありのままを受け入れ、今、この瞬間に起きていることに向き合う、ということです。

海外においてマインドフルネスは、医療のみならず、教育、ビジネス、スポーツ、矯正などの広い分野で応用されており、Google・Appleなどの企業研修に導入されていることから、日本でも注目を集めるようになりました。

海外でマインドフルネスが多くの企業に導入されたきっかけは、J・D・ティーズデールやJ・M・Gウィリアムズといった著名な研究者によって理論的なフレームワークと実証研究が示されたこと。また、脳科学の分野でマインドフルネスが脳の機能と構造に変化を与えることが実証的に明らかになったことなどから、科学的な根拠のあるメソッドとしてアメリカで受け入れらるようになりました。

有名な研究のひとつとして、2013年には、209の研究、延べ被験者数1万2000人以上のデータを対象にメタ分析がなされ、マインドフルネスは心理的な問題、特に不安、うつ、ストレスの減少に効果があるとの研究報告がされています。

自己認識力が欲望をコントロールする?

『ネイチャー・ニューロサイエンス』誌に掲載された論文「The neuroscience of mindfulness meditation」によると、毎日短時間のマインドフルネス・エクササイズを実践すれば、脳の構造と機能が変化して、自己認識が強化されることが明らかになりました。

自己認識力とは、一瞬一瞬の自分の心の動きを正しく把握し、さまざまな状況における自分の「傾向」を理解する力です。特定の出来事や問題や人に対し、自分がつい取りがちな対応を知る力も、この中に含まれています。

自分の傾向を正確に知っておくことは、そうすれば、自分の心の動きがすぐに察知できるようになります。

例えば、イライラしたり、ストレスを感じると、食べ過ぎてしまう傾向がある人が、「ん?自分は今、イライラしている。イライラすると、食べることで気分を紛らわそうとしている」と認識することによって、なるべくイライラしないような生活を心がけることで、食べ過ぎを避けることが可能になります。

このように自分の感情や対象物に対するある種の距離感をマインドフルネスは醸成することが可能になります。

マインドフルネスのレッスン

実践マインドフルネス(熊野宏昭著)より、マインドフルネスの実践法の一部をご紹介しましょう。

毎日5分から10程度から始めて徐々に長くするのがポイントです。

  • 背筋がすっと伸びて、そのほかの体の力はすべて抜けている姿勢をとる。(下腹に少し力が入る)半跏趺坐または結跏趺坐がおすすめ。
  • 呼吸に伴う体の動きに静かに注意を向ける
  • 呼吸は「ゆったりと」くらいにして、なるべくコントロールしない。
  • お腹や胸のあたりの動きに注意を向け、「ふくらみ、ふくらみ」「ちぢみ、ちぢみ」と感覚をそのまま感じ取る。
  • 気づきが追随し、木の葉が風でそよいでいるように、体がただふくらんだり、ちぢんだりしているといった感覚が生じることがある。
  • 雑念・五感・感情などに引き込まれているのに気が付いたら、ラベリングしてそっと呼吸の感覚に戻ることを繰り返す。
    ※ラベリングとは、雑念が浮かんで来たら「雑念」「雑念」と心の中で自分に合図を送り、「戻ります」と自分に声をかけて、注意を呼吸に伴う身体感覚や動きに戻します。
  • さらに注意をパノラマ的に広げて、気づきの対象になる私的・公的出来事のすべてを同時に捉え続けるようにする。

 

実践マインドフルネス(熊野宏昭著)は、分かりやすくオススメの一冊です。Kindleなら無料で読めます。最初に覚えるべき2つの瞑想法、そして応用編として幸福感に向かっていくためのACTという手法が紹介されています。

ひとりではできない人はオンラインレッスン

株式会社Melonは、自宅でも気軽にマインドフルネスを実践できるオンラインサービス「MELON ONLINE」を提供しています。ひとりでは、出来ない、経験豊富なインストラクターから指導を受けたいという人においすすめです。

まとめ

一般的なビジネスマンにとっては、渡部さんの不倫のニュースは芸能界のことであり、自分には関係ない世界と思っている人が大多数だと思います。

しかし不倫ではなく「欲望」と置き換えてみると、案外身近な問題になるかもしれません。最近はコンプライアンス重視の企業が多く、「セクハラ」、「パワハラ」は要注意です。

セクハラもパワハラも性欲や支配欲といった「欲望」が源泉となる行為。こういった人生の躓きは、むしろ仕事や家庭が順風満帆のときに見舞われやすいように思います。

調子の良いときほど、自己認識力を高め、欲望をコントロールする術を身に着けておくのもいいかもしれませんね!

【参考】

※ Khoury B, et al., Mindfulness-based therapy: A comprehensive meta-analysis, Clinical Psychology
Review, 2013 August; 33(6):763?771.
※ The neuroscience of mindfulness meditation,Nature Reviews Neuroscience

※ 『脳内麻薬 人間を支配する快楽物質ドーパミンの正体』(中野信子著 幻冬舎)

※ 『あなたの脳は変えられる 「やめられない! 」の神経ループから抜け出す方法』
(ジャドソン・ ブルワー 著 久賀谷亮 監修・翻訳 岩坂 彰 訳 ダイヤモンド社)
※ 実践マインドフルネス(熊野宏昭著  サンガ)

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